「母子の絆」と「安からな死」こそが日本再生の切り札 ゆりかごから墓場まで─本来の日本人の死生観を復活させるには


2025年9月号 聞き書きシリーズ ─ 三角大慈氏 みかどクリニック院長

母子の絆が復活する時

私は学生時代から生命不在の現代医学に矛盾を感じ、真の医療の樹立を志しました。1981年に「天然医学」を主宰し、45年の年月をかけて音による癒しの治療法「NAM治療」を確立しました。この治療法は複合的な周波数スペクトル(光や信号などの波を成分に分解し、成分ごとの大小〈強度〉を見やすく配列したもの)を有する電気信号の量子的シグナルを「ツボ」に伝達する鍼治療です。具体的には、「ツボ」に雷や波、台風などの自然音を電気信号に変換した微弱電流を通電します。現在、100種類以上の音を使っています。

その過程で発見、開発したのが、「心音セラピー」です。ツボと音の関係が次第にわかっていくうちに、子供にはどのような音よりも母親の心音が効くと考えました。そこで母親の心音を子供のツボに通電してみると、夜泣きなどは数回の治療で消失、喘息や風邪なども簡単に改善されるなど素晴らしい結果でした。2007年に独自に心音装置を開発しています。

心音セラピーは、母親の心音を2分30秒録音し、それを2回リピートして計5分間、耳ではなく子供のツボに直接母親の心音を聴かせるものです。心音を微弱電流に変換した電流を腰にあるツボ「命門」と背中の「身柱」、もしくは臍と後頭部の2カ所のツボに通電します。「電流をわが子に流す」と聞くと驚くお母さんが大半ですが、微弱電流なので子供は全く何も感じませんから、痛みや不快感もありません。ただ2カ所のツボに粘着パットを貼るだけです。

昔から母親の心音が子供に良い影響を及ぼすことはよく知られていました。泣き叫ぶ子供を左胸に抱いて母親の心音を聞かせると落ち着いて寝入ります。また、心音を聞かせながら母乳を飲ませると子供の消化吸収がよくなる例があります。母親の心音を耳に効かせるだけでこれほどの作用があるなら、ツボに聴かせるともっと効果を期待できると考えました。

心音セラピーによって母子間の絆が強くなり、その結果子供は元気溌剌になりました。さらに病気は自然に治りました。最初は子供が母親に甘えるようになります。母親は子供が甘えてくるので母性が刺激されて、我が子がより可愛く愛おしくなります。子供は母親の心境の変化に敏感に反応してますます甘えるようになり、母親も我が子がますます可愛く思えていくという連鎖反応が起きて、母子の絆、母子間のコミュニケーション能力が高まっていきます。そして、母親は子育ての楽しさを身をもって実感できるようになります。

しかし、心音セラピーで症状が改善するのはあくまでも結果です。心音セラピーの目的は、母子の絆を強くして、子供の育つ力を育てることにあります。そのために最も大事なことは母親の気付きです。母親が我が子の表情が豊かになった、よく笑うようになった、抱いた時に重く感じるようになったなどの変化に気づかないなら、効果が出るのに時間がかかります。なぜなら母子の絆は一方方向ではなく双方向性だからです。子供が変わると母親も変わり、母親が変わると子供も変わります。

多動症だった男の子が急に変わったことがありました。それまでお母さんは自分の都合に合わせてセラピーに来ていたのですが、「この子のために」と心から思うようになった途端、子供が劇的に変わったのです。自分の都合で、ついでにセラピーを受けていたのが、潜在意識のレベルで絆が強まるにつれて、母親か子供、どちらかがポンと変わるのです。相乗効果です。絆は双方向性ですから、両方に作用します。

アトピーの男の子のケースでは、最初はステロイド軟膏でそれなりに落ち着いていました。しかし、根本的に治したいとこちらに来て軟膏をやめると途端に症状が悪化しました。すると家では父親や祖母から「何をやってるんだ」と責められる。しかし、そのご主人もアトピーで、大人になっても治っていないという事実がありました。そんな中、ある日お母さんが「この子は私が守る」と心に決めた途端、子供の症状が良くなっていったのです。

「この子は私が守る」という母性本能が潜在意識のレベルから急に顕在化するのです。このように子供の病気は、ほとんどが母子の絆で治っていきます。特に3歳までが効果的です。7歳くらいまでは効果がありますが、3歳までが一番効きます。

音による癒しの治療法「NAM治療」は、「モーツァルトを聞かせると乳牛の乳の出が良くなる」と小耳に挟んだのがきっかけでした。音楽にこのような生理現象があるのなら、耳で聞かせるよりツボに聴かせたらもっと効くに違いないと考えた私は、早速音楽を電気信号に変換して通電する装置を作り、鍼治療をスタートさせました。しかし、治療結果は惨憺たるものでした。やむなく中断しましたが、諦めきれずに再び治療を始め、中断して1年ほど過ぎた頃に朗報が届きました。

「先生、昨日の治療は効きました」。腎臓のツボに海の波の音を通電した患者の言葉です。この時、初めてツボと音には何らかの関係性があることに気づきました。それ以来、いろんな音をツボに通電してツボと音の関係を調べました。その結果、ツボと音は鍵と鍵穴の関係になっていて、鍵と鍵穴が一致しないとドアが開かないように、ツボと音が一致しないとツボは音の持つ量子的シグナルを受け取らないことが分かりました。まだ、完成とまではいきません。これからも研究を重ねていきます。

安らかな死を迎えるために

母子の絆の重要性と同じく、死に方も重要です。限りある寿命、人は必ず死ぬことは厳然とした事実で、古今東西、誰一人としてこの事実から逃れられた者はいません。それならば、どのような死を迎えるのか、迎えたいのか、誰もが考え、思い願うテーマです。

しかし、日本の今の現状は惨憺たるものがあります。

回復の見込みがなく、すぐにでも命の灯が消え去ろうとしている時でも人工呼吸器をつけて体内に酸素を送り込まれ、胃に穴を開けられて胃ろうを装着して栄養を摂取させられます。ひとたびこれらの延命措置を始めたら外すことは容易ではありません。生命維持装置を外せば死に至ることが明らかなので医師が外したがらないからです。

確かに、あらゆる手段を使って生きたいと思っている多くの人々の意思も尊重されるべきですが、一方でチューブや機械に繋がれてなお辛い闘病を強いられ「回復の見込みがないのなら、安らかにその時を迎えたい」と願っている人もたくさんいます。

しかし、現代医学が死に介入しすぎることで、死が肉体だけのものになってしまいました。そして延命治療が始まります。

それで死がおかしくなってしまう。延命治療の末に認知症になったり、暴言を吐いたりして亡くなる。「あのお母さんが、あのお父さんが、最後に汚い言葉を吐いて亡くなった」と。これらは皆、延命治療の結果なのです。

本来、死ぬ時というのは栄養が落ち、枯れるようにして穏やかに死んでいくものです。それが安らかな死なのです。しかし、点滴をしたら、栄養が満たされてしまい、認知症になったり、おかしくなったりするのです。現代医療が本来の死にどれだけ過剰に介入しているか。本人が生前に「家で死にたい」と言っていても実際に危ない状態になったら、家族はあわてて病院に連れて行ってしまう。そして、生前の本人の気持ちは無視されてしまう。そういうケースが非常に多いのです。


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