拉致監禁、理不尽なバッシング、宗教弾圧の真実…あえて旧統一教会を擁護する


2025年3月号 そこが聞きたい! インタビュー

世界平和統一家庭連合(旧統一教会)を巡るバッシングが凄まじい。一般社会に「高額献金など問題ある教団」というイメージが強い中、関係者を直接取材し、教団とそれを取り巻く環境、その実態がイメージと大きく乖離していることに危機感を募らせたジャーナリストに語ってもらった。

福田ますみ氏

1956年、横浜市生まれ。立教大学社会学部卒。専門誌、編集プロダクション勤務を経て、フリーに。冤罪、ロシアなどをテーマに取材、執筆活動を行っている。著書に『暗殺国家ロシア 消されたジャーナリストを追う』(新潮社)、『モンスターマザー』(新潮社)、『ポリコレの正体』(方丈社)などがある。2007年に『でっちあげ 福岡「殺人教師」事件の真相』(新潮社)で第6回新潮ドキュメント賞を受賞。

拉致監禁と背教者

―旧統一教会に関してはこれまで取材したことがありません。また、信者の人にも会ったことがなく、正直な話、霊感商法など旧統一教会に対してはかなり不信感を持っています。

福田 恐らく、一般の人たちの中で旧統一教会に対して好意的な印象を持っている人はほとんどいないでしょうね。むしろ、危険なカルト集団というイメージを持たれていると思います。

これは、反統一教会、特に「全国霊感商法対策弁護士連絡会」(全国弁連)が40年近く、全国の津々浦々まで教団のネガティヴキャンペーンを激しく執拗にやってきた結果です。それ以前も、1960年代に親泣かせの「原理運動」が社会問題化して批判されていました。原理運動とは旧統一教会の学生布教活動で、原理研究会という団体を通じて、大学生などの若者を合宿生活に誘い、信仰生活や伝道活動に専念させたために家族との仲が疎遠になり、親たちが心配して対策父母の会を結成し騒動になりました。旧統一教会の信者に対する拉致監禁はこの頃から行われています。

そして80年代後半になって、今度は全国弁連による霊感商法被害者救済活動が始まった頃から拉致監禁が再び活発化しました。

―拉致監禁は犯罪行為ですよね?

福田 明らかに犯罪行為ですが、「教団はとんでもない反社会的集団だから」と拉致監禁を信者の親族に行わせて、刑事事件に発展させないという狡猾な手口を使っていました。拉致監禁された信者の数は1966年から2015年までに約4300人以上にも上ります。親族の背後にいてこうした悪質な手口を編み出したのが、プロの「強制棄教・脱会屋」と称された宮村峻氏や、旧統一教会を異端と見なして目の敵にした全国のキリスト教の牧師たちです。強制棄教に関わったある女性牧師は、全国で5000人以上の信者が拉致監禁されただろうと明言しています。

―宮村氏やキリスト教の牧師たちはどのように強制棄教させるのですか?

福田 彼らはたくさんの信者たちに対する拉致監禁に主導的に関わり、連日、監禁部屋に現れては、教祖や教義に対する誹謗中傷、罵詈雑言を浴びせて信者を精神的肉体的に極限の状態に追い込み強制棄教させます。それだけでなく、元信者たちに教団を訴えるよう指示します。これに従わないと脱会は偽装ではないかと疑われ再び拉致監禁されてしまうので、元信者たちは仕方なく、「教団にマインドコントロールされて入信させられた、大理石壺や多宝塔を買わされた、高額献金させられた」と主張して教団を訴える原告になりました。その際、代理人になったのが山口広弁護士や紀藤正樹弁護士ら全国弁連の弁護士たちです。彼らは拉致監禁に深く関わっています。

そして元信者たちは法廷で、旧統一教会がいかにひどいところかを証言します。また、宮村氏や牧師たちの命令でメディアにも出演させられ、やはり教団を非難します。この元信者たちの証言には非常に嘘が多いのですが、こうした裁判の情報や元信者たちの証言を聞いて、別の信者の親族らが不安を募らせ脱会屋に相談し、新たな拉致監禁が発生します。こうしてシステム化された拉致監禁は、無限ループのように繰り返されてきました。

―拉致監禁された信者は脱会後に、教団に敵対する背教者になるそうですが、なぜですか?

福田 拉致監禁された人たちがすべて背教者になるわけではありませんが、これこそ洗脳のなせる業です。なぜなら、拉致監禁して身体の自由、行動の自由を奪った上に、「脱会しなければ絶対にここから出さない」と連日暴言や暴力を振るわれるわけですから多くの信者は「転び」ます。そして、自分が今まで信仰してきたことはすべて間違いだったのだ、教義は真理ではなく教祖はメシアではないと信じ込むようになり、かつて所属した教団を激しく恨み憎むようになります。

こうした脱会工作をアメリカではディプログラミングと言います。かつてはアメリカでも新興宗教の信者に対してかなり行われていましたが、今では強制的なディプログラミングは刑事罰に処されます。日本では親がやれば抵触しないと、脱会屋や牧師が親族を焚きつけて拉致監禁の方法を伝授してやらせるわけです。彼らはその見返りで莫大なお金を受け取っています。教団の高額献金を批判する資格はありません。

拉致監禁の実態

―中には12年以上拉致監禁された信者もいるそうですね。

福田 後藤徹さんという方で、先頃、『死闘 監禁4536日からの生還』(創藝社)という書籍を出版されました。彼は兄妹と共に信者で、東京で大手建設会社に勤務していました。まず兄が、宮村氏に教唆された父親によって拉致監禁され、脱会させられます。すると次に父と兄は、妹を同様に拉致監禁し脱会させました。後藤氏は1987年と1995年の2回にわたり拉致監禁されています。1987年の時はすぐに脱出できました。しかし1995年の時は、新潟に移送されて牧師により説得を受け、その後、東京に戻されてマンション高層階に監禁場所が移ると、宮村氏によって多数回説得を受けます。兄、脱会者の兄嫁、妹、さらに元信者も加わりひどい虐待を受けました。

監禁は、2008年2月、満足に食事が与えられないためやせ細って放逐されるまで12年5カ月にも及びました。その後、栄養失調、筋力低下、廃用性筋萎縮と診断され、50日間の入院を余儀なくされます。退院後、監禁した家族、宮村峻氏、牧師を刑事告訴しましたが不起訴になります。後の民事訴訟では、最高裁で被告らの責任が全面的に認められ2200万円の賠償が命じられました。

―閉じ込められた信者はこのままでは解放されないので、脱会を偽装するそうですね。

福田 そうした方は多いです。しかし、それを見破るための踏み絵がいくつも用意されています。まず反省文を書かされます。それから教団に脱会届を出させ、酒を飲まない信者に酒を飲ませ、仲間の居場所を教えるように迫ります。これは新たに拉致監禁をするためです。また、祝福結婚した信者には、婚姻無効届を出させます。他の拉致監禁の信者のもとに行って脱会するよう説得させ、最後の踏み絵は、先にも少し触れましたが、教団を訴えることです。教団を被告とする訴訟が多い理由がこれです。

こうした拉致監禁中に自殺した女性、脱会の説得者にレイプされた女性もいます。夫や子供と引き離された女性もいます。監禁場所から解放されるために洗剤を飲んだり、しょう油を一気飲みしたり、マンションの高層階の監禁部屋から転落して高次機能障害が残った信者もいます。4300人以上の被害者のうち、その7割が脱会したと言われています。

―こうした行為はほとんど報道されていません。

福田 1984年5月の朝日新聞夕刊に「信仰切れずに 鎖が切れた」という見出しで脱会屋にそそのかされた親から拉致監禁された女子学生の記事が載りました。拉致監禁に関しては以後、ほとんど報道されませんでした。

なぜ、こうした事実が報道されないのかというと、まずわが国には社会全体に新興宗教への偏見が根強くあり、オウム真理教の事件がその傾向に拍車をかけました。かくいう私も、この取材を始める前は新興宗教に偏見を持っていました。旧統一教会に対しては1987年頃から、敵対組織である全国弁連とメディアがタッグを組んで霊感商法キャンペーンを始めました。全国弁連が教団の霊感商法を激しく糾弾したのは、純粋に悪徳商法の被害者を救済しようという目的ではなく、教団の関連組織である国際勝共連合が当時行っていたスパイ防止法制定の運動を阻止しようという思惑があったのです。ここのところは後ほど詳しく説明しますが、スパイ防止法に反対していたのは左翼だけでなくメディアも同様でした。

つまり、全国弁連とメディアは当時から政治的、イデオロギー的に目指す方向がいっしょだったのです。ですから、旧統一教会を被害者とする拉致監禁問題を報道するわけがないです。

―ただ教団の側も、ここまで被害が出ているのに、あまり積極的に拉致監禁の防止、撲滅のために動かなかったと聞きましたが。

福田 まず、拉致監禁はどんな言い訳も通用しない絶対悪です。やる側が100%悪い。しかし教団の側も、この未曽有の犯罪と真正面から闘おうとしなかったことは確かです。いくら警察に駆け込んでもまったく取り締まってくれない。人権擁護局に訴えても何もしてくれない、社会はわかってくれないとあきらめてしまったところがあります。

ただ、当初は教団も闘っていました。美馬秀夫徳島市議(7期)は旧統一教会の信者であることを公言して市議選に当選した方ですが、1979年12月、親族から麻酔を打たれ東京の精神病院に強制入院させられました。

また、京都大学の原理研究会のリーダーだったYさんは、1987年8月、京都市内で拉致されて小型機で札幌まで移送され、現地で鉄格子のはまった住居に監禁されました。両方とも、それぞれ別の父母の会が両親と結託して行った拉致監禁です。教団は2人の居場所を突き止め、裁判所に2人の人身保護請求を提出しました。すると美馬さんはすぐに解放されましたが、京都大学のYさんの場合、共産党系の弁護士約200人が弁護団を結成し、被告である父母の会の会長の代理人となって、裁判で強硬にYさんの解放を妨害しました。このためYさんは一向に解放されませんでした。Yさんはその後、監禁が緩んだ隙をついて自力で脱出しました。教団はこの人身保護請求という方法で、精神病院に閉じ込められた信者を何人も救出しています。

ところが、これを教訓とした脱会屋の宮村峻氏や牧師たちが、以後、主にマンションに拉致監禁させる方法をとったため、どこに信者が監禁されているのか突き止めることが難しくなり、人身保護請求による信者の解放はできなくなりました。

これはキリスト教にも通じるところですが、教団と信者に、こうした迫害、弾圧を試練、受難と考えて耐え忍ぶ傾向があることもこの問題の解決を遅らせた原因のひとつです。迫害を受ければ受けるほど教団は強くなる、信仰心が篤くなると。

実際に信者さんたちに会えばわかると思いますが、皆さん非常にいい方ばかりで、世間のイメージとは真逆です。信者の知り合いがいる一般人も口を揃えてそう言います。それは、「(人の)為に生きる」「恩讐を愛せ」という教義を忠実に守って生きているからでしょう。一般人にはとてもできないようなボランティア活動を地道に行っている信者さんも少なくありません。彼らは、罵倒されたり攻撃されたりしても、反発したり反論することをほとんどしません。残念ながら、そういうところが逆に誤解を招いたりもするのですが。


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