北朝鮮による拉致問題解決に向けて


2024年7月号 特別寄稿

埼玉県議会議員 鈴木正人

昭和43(1968)年5月4日生まれ。昭和59(1984)年、志木市立宗岡第二中学校卒業。昭和62(1987)年、埼玉県立志木高校卒業。平成3(1991)年、国士館大学政治経済学部政治学科卒業。卒業後、お笑い芸人を目指すも挫折。平成5(1993)年、河村たかし当時衆議院議員・(現名古屋市長)秘書。平成7(1995)年、上田きよし当時衆議院議員秘書・現参議院議員の秘書。平成8(1996) 年、27歳で志木市議会議員に初当選。市議会議員を3期途中9年4か月務め、平成17(2005)年、37歳で埼玉県議会議員初当選。令和5(2023)年、埼玉県議会議員選挙6期目の当選、文教委員会委員長。令和6(2024)年、現在・産業労働企業委員会委員長、自由民主党埼玉県連筆頭副幹事長。

経済制裁の実効性

皆さんご承知の通り、北朝鮮による日本人拉致問題は、1970年代から1980年代にかけて多数発生し、多くの日本人が北朝鮮によって拉致されました。
その後も北朝鮮による拉致事件は発生されている疑いがあり、日本政府は令和2年5月時点で12件17名の日本人拉致を拉致被害者として認定しているものの、それは氷山の一角であり、いわゆる「特定失踪者」と呼ばれる「北朝鮮による拉致の可能性を排除できない失踪者」も800名以上も存在していて、実際は北朝鮮による日本人拉致被害者は数百名にも及ぶと言われています。

この北朝鮮による拉致問題は、被害者だけでなくその家族にも長年にわたり深刻な苦痛を与え、日本と北朝鮮の関係にも大きな影響を及ぼし続けているのが現状です。

2002年に日朝首脳会談が行われ北朝鮮側が日本人拉致を認め、日本人拉致被害者5名が帰国し、2004年には5名の拉致被害者家族も日本に帰国して以来、北朝鮮による拉致問題は20年もの間全く進展はありません。

拉致被害者・横田めぐみさんの父親である横田滋さんや田口八重子さんのお兄様である飯塚繁雄さんを始め、多くの拉致被害者家族が再開を果たせないまま他界されております。

拉致被害者家族連絡会(家族会)は、先日行われた「全拉致被害者の即時一括帰国を求める国民大集会」にて、拉致被害者全員の即時帰国という事で全ての拉致被害者が一日も早く日本に帰国することを最も強く望んではいるものの家族会・救う会は令和6(2024)年2月25日、「親の世代の家族が存命のうちに全拉致被害者の一括帰国が実現するなら、我が国が人道支援を行うことと、我が国がかけている独自制裁を解除することに反対しない」という新しい運動方針を決めております。

今や家族会メンバーの親の世代はわずか横田早紀江さんら二人だけとなってしまい、ご存命中に再会していただくには本当にもう時間が無いのです。
そこで北朝鮮による拉致問題解決のためには、基本的に救う会や家族会が主張しているように政府が北朝鮮に対して強硬な態度を取り続ける必要がある事と、国際的な圧力が重要であり、特にアメリカや他の同盟国との連携が不可欠だとの主張に賛同いたします。

また、日本政府に対しても、より強い姿勢で北朝鮮に対応することを求め続け、経済制裁の強化や国連を通じた圧力の継続も必要でしょう。
ただ20年以上拉致問題が進展せず、金正恩独裁体制の崩壊も見込めない中、ウクライナ戦争においてロシアへの弾薬工場としての役割を担うようになった北朝鮮は、弾薬の提供によってロシアからのミサイル技術だけでなくウクライナの穀倉地帯からかすめ取った食糧を北朝鮮に援助する事で北朝鮮経済は持ち直しているとの情報も入っております。

かつて餓死者まで出しながら現在では食糧危機から脱却した状況では、今の制裁レベルの継続では不十分かも知れません。
長年拉致問題に向き合っているアジア調査機構代表の加藤健氏は、拉致問題解決のためにまだまだ日本政府として圧力をかける事が可能であり「朝鮮総連の破産申し立て」をすべきと主張しております。


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